こんにちは。北川動物病院の北川祐樹です。
最近、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)についてご質問を受けることが増えてきたので、少しお話しておこうと思います。
SFTSとは、マダニから感染するウイルス性疾患で、日本では2013年に初めて患者が報告されました。当院でも10年以上前から、診察室や待合室に啓発ポスターを掲示し、注意を呼びかけてきました。
ここ最近になってSFTSが注目されている背景には、以下の2つの要因がのかなと思います。
・ 三重県で獣医師が猫の治療中にSFTSに感染し、亡くなられたこと
・ SFTSウイルスを持つマダニの生息域が拡大していること
以前は「南や西の地域の病気だなぁ」といった印象がありましたが、現在では三重県を含め、私たちの身近な地域にもリスクが迫っていると思います。
この病気の怖い点は、マダニからの感染だけでなく、発症した動物から人へ感染する可能性があることなのです。
発症した場合の致死率は非常に高く、
・猫:約60〜80%
・ 犬:約20〜40%
・人:約10〜30% とされています。
感染予防のためには、
・草木の多い場所へ行く際は、肌の露出を避ける服装を心がけること
・ 犬や猫には、ノミ・マダニ予防薬を定期的に投与すること
が重要です。
最近よく、 「先生、うちの子はノミ・マダニ予防薬を使っているのでSFTSは心配ないですよね?」 といったご質問を受けます。
しかし『マダニに刺された時点でウイルスが体内に入ってくる可能性があるため、予防薬を使っていても完全には防げません。』
それでも感染の確率を下げたり、家族への二次感染を防ぐ意味ではとても大切な対策です。
また、弱っている猫ちゃんを保護する場合も、SFTSに感染している可能性があります。保護の際は、必ず十分な知識を持った方が対応するようにしてくださいね。

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